学校歯科健診マニュアル

う歯(C)及び要観察歯(CO)の検出基準

う歯(C)及び要観察歯(CO)の検出基準

健康診断表の記入要領

◎歯列・交合・顎関節

顎関節
0(異常なし):視診による顔の観察、顎関節部の触診によって異常を認めず、
        口開閉に障害がなく、又本人から異常の訴えもない者
1(要観察) :顎関節に何らかの異常が認められるもので定期的観察が必要な者
        a.開閉口時の顎の偏位
        b.開閉時に痛みはないが、軽度の顎関節部の異常を訴える。
2(要精検) :顎関節雑音、顎の偏位、開口制限を伴う開・閉口障害のある者で、
        本人が開・閉口時に痛みを訴える者
注意事項 @顎関節雑音 A顎の偏位 B開閉口障害 C開閉口痛
歯列・咬合
0(異常なし)
1(要観察) :軽度の不正咬合が認められる者、矯正治療中の者

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2(要精検) :重度の歯列・咬合異常
        咀嚼および発語などの機能上の障害が疑われ、将来、う蝕の発生、
        歯周炎を起こすおそれがある者、あるいは現在児童生徒が心理的負担を感じている者、
        また児童生徒のからだ・こころの健康にとって治療を受けた方がよいと判断される者

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1)反対咬合:3歯以上の反対咬合
       ※1歯でも骨格性を疑う下顎前突
2)上顎前突:オーバージェット8mm以上
       通常使用するデンタルミラーの直径の1/2程度
3)開口  :上下顎前歯切線間に垂直的に6mm以上
       通常使用するデンタルミラーのホルダーの太さ以上、ただし萌出が歯冠長の1/3以下のものは除外
4)叢生  :隣接歯が互いの歯冠幅径の1/4以上重なるもの
5)正中離開:上顎中切歯間に6mm以上空隙のあるもの
       通常使用するデンタルミラーのホルダーの太さ以上、ただし萌出が歯冠長の1/3以下のものは除外
6)その他 :過蓋咬合、交叉咬合、一歯のみでも著しい異常等があれば記載

記入方法:数字を○で囲む
     歯列・咬合・顎関節で数値が違う
     場合は数字の高い方に○印を記入
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◎歯垢の状態

前歯部唇面で主に視診によって判断
0(良好)   :ほとんど歯垢の付着を認めない者
1(若干の付着):歯面の1/3以下に歯垢の付着を認める者で、刷掃指導を要する者
2(相当の付着):歯面の1/3を超えて歯垢の付着が認められる者で、刷掃指導は行わなければならないが、
         場合によっては生活習慣に問題があって健康相談を行う必要のある者
※萌出途上の第一大臼歯、第二大臼歯で、低位にある歯では、咬合面に多量に歯垢が付着していることがある。
 う蝕予防の見地から、この部位の清掃が大切であるので、このような児童生徒には特に指導するとよい(2と記入する)

◎歯肉の状態

前歯部を主に視診によって観察
0(異常なし):歯肉に炎症のない者
1(要観察) :GOジーオー
 歯肉に軽度の炎症症候が認められる者で定期的な観察が必要な者
(歯石沈着は認められず、注意深いブラッシングを行うことによって
 炎症症候が消退するような歯肉の保有者をいう)
2(要精検):G
・歯科医師による診断が必要な歯周疾患の認められる者
・明らかな歯周炎の者やその疑いのある者
・相当広範囲にわたって歯間乳頭と歯肉縁に顕著な炎症のある者
・歯石沈着があって歯肉に炎症のある者
・歯肉肥大症(歯肉増殖症)が疑われる者
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◎歯式

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現在歯
 乳歯・永久歯とも、歯冠の全部又は一部見えているもの
  その歯の記号を斜線か連続横線で消す。
 健全歯、未処置歯、処置歯の3つに分類
 過剰歯は含めず→その他の疾患および異常の欄へ記入
 癒合歯、癒着歯は1歯で、上位の歯名を充てる→その他の疾患および異常の欄へ

健全歯
 う蝕及びう蝕が原因の歯科的処置の認められないもの
 破折歯は歯髄に及んでいなければ健全歯
 外傷歯、発育不全歯、形態異常歯も定義に合えば健全歯
う歯(未処置歯)C
 治療を要するう蝕のある歯。
 2次う蝕は未処置歯
 治療途中の歯は未処置歯
 う蝕の検出は、主に視診にて明らかにう窩を確認できるものをう蝕(C)とする
う歯(処置歯)○
 充填、金属冠、継続歯、架工義歯の支台等で歯の機能を営む事が出来るよう修復されている歯。
喪失歯 △
 永久歯でう歯により喪失したもの(う歯により喪失したブリッジのポンティックを含む)
 外傷、歯周疾患、矯正の便宜抜歯、先天性欠如歯、未萌出歯、埋伏歯によるものは無印
※先欠によるブリッジとう蝕によるブリッジを区別する
要注意乳歯(要抜去歯とは限らず)×
 抜去にあたっては保存の適否を慎重に考慮する必要があると認められる乳歯
要観察歯 CO
 主に視診にてう窩は認められないが、う蝕初期病変の疑いのある歯
 小窩裂溝の着色、粘性
 平滑面の白濁、白斑、褐色斑
 隣接面の歯質の変色によるう蝕を疑うが、う窩が確認できないもの

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※探針を用いてう窩の存在の確認をせざるを得ない場合、歯軸方向に垂直的な強い圧を加えず、なるべく裂溝や歯面に沿って水平的に移動させるようにする
※シーラント:健全歯としてあつかう(記入しなくてもよいが次年度の健診を考えて○にシと記入)CR充填と迷う場合処置歯とする○
※サホライド:未処置歯として扱い、歯式欄に○にサと記入する

◎その他の疾患および異常の欄

歯の硬組織の異常:フッ素症歯、癒合歯、癒着歯、歯牙破折、エナメル質形成不全、円錐歯
歯数異常:先天性欠如歯、過剰歯
歯の位置異常:転位歯、低位歯、埋伏歯
唇・口蓋の異常:口唇裂、口蓋裂、口唇炎、口角炎
軟組織の異常:ヘルペス、エプーリス、アフター、潰瘍、小帯異常、舌苔、舌炎
       不良習癖(悪習慣)吸指癖、咬唇癖、咬舌癖など




参考文献:「学校歯科医の活動指針」日本学校歯科医会「歯・口腔の健康診断と事後措置の留意点‐CO・GOを中心に」および「‐よりよい顎・口腔機能の育成を目指して‐」日本学校歯科医会「学校歯科保健の基礎と応用」茨城県歯科医師会「学校歯科健診ガイド」佐賀県学校歯科医会、安井利一、西蓮寺愛憲編著:学校歯科保健の基礎と応用医歯薬出版、2001



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